「アメックス キャッシング」と検索すると、「使える」「海外ATMで現金が引き出せる」といった情報を見かけることがあります。しかし、実際に公式情報を確認すると、日本で発行されているアメックス(American Express)のプロパーカードでは、キャッシングサービスは提供されていません。
今回は、アメックスのキャッシングについて、多くの人が誤解しやすいポイントや、プロパーカードと提携カードの違いを解説します。
アメックス(American Express)のプロパーカードはキャッシング不可
まず押さえておくべき最重要ポイントは、「アメックス=キャッシングできる」という認識が、現在の日本発行カードでは当てはまらないという事実です。特に、グリーン・ゴールド・プラチナなどのプロパーカードを使っている人ほど誤解しやすい点でもあります。
■日本発行のプロパーカードのキャッシングは、2012年に終了
アメックスは、かつて「エキスプレス・キャッシュ」というキャッシングサービスを提供していました。しかし、日本では2012年をもってこのサービスは終了しています。そのため、現在日本で発行されているアメックスのプロパーカードには、キャッシング機能自体が存在しません。
これは利用枠の問題ではなく、「機能として非対応」である点が重要です。ショッピング利用額がどれだけ高くても、信用度が高くても、キャッシングサービスを使うことはできません。
■海外でもプロパーカードはキャッシング不可
「海外ならCash Advanceとして使えるのでは?」と思う人も多いですが、これも誤解です。日本発行のアメックス・プロパーカードは、海外ATMでもキャッシング不可となっています。
VisaやMastercardのように、海外ATMで現金を引き出す仕組みがカード自体に組み込まれていないため、物理的に使えないと考えた方が良いでしょう。海外旅行や出張時に「アメックスがあれば現金は何とかなる」と思っていると、いざという時に困る可能性があります。
■なぜ誤解が広がっているのか
この誤解が生まれる理由の一つが、「アメックスブランド」と「アメックス発行カード」が混同されていることです。実際には、アメックスブランドのカードでも、発行会社が異なれば機能も異なります。この違いを理解しないまま情報を集めると、キャッシングが「できるのか/できないのか」が分からなくなってしまうのです。
提携アメックスカードならキャッシング可能
アメックスのプロパーカードではキャッシングができない一方で、「アメックスブランド=すべて不可」というわけではありません。発行会社がアメックス以外の提携カードであれば、キャッシングが可能なケースがあります。
■提携カードとは何か
提携カードとは、クレディセゾンや三菱UFJニコスなど、アメックス以外のカード会社が発行し、決済ネットワークとしてアメックスブランドを使っているカードのことです。見た目はアメックスでも、中身の仕組みはVisaやMastercard系カードに近いのが特徴です。
このタイプのカードには、発行会社側のキャッシング機能が付いていることが多く、国内外のATMで現金を引き出せる場合があります。
■海外に行くなら「提携カード+アメックス」が現実的
海外渡航を想定すると、次のような使い分けが非常に合理的です。
・メイン決済、サービス利用:アメックスのプロパーカード
・現金引き出し、緊急用:提携アメックス(またはVisa/Mastercard)
アメックスのプロパーカードは、ホテル・航空券・レストランなどでの信頼性やサポート力が強みです。一方、キャッシングはそもそも想定されていないため、役割を分けて持つのがベストと言えます。
■「アメックス1枚で完結」は現実的ではない
ステータス性の高いカードほど、「これ1枚で全部済ませたい」と思いがちですが、キャッシングに関しては例外です。アメックス自身も、キャッシングを強みとしていません。そのため、海外利用を考えるなら「キャッシングできない前提」で準備する必要があります。
まとめ
「アメックスカードでキャッシングできる」と多くの人が思っているかもしれませんが、実際の仕様には大きなズレがあります。日本で発行されているアメックスのプロパーカードでは、国内・海外を問わずキャッシングは利用できません。これは制限ではなく、そもそも機能として提供されていないためです。
一方で、アメックスブランドの提携カードであれば、発行会社のサービスとしてキャッシングが可能な場合があります。特に海外渡航時には、「アメックスのプロパーカード+キャッシング可能な提携カード」という組み合わせが現実的で安心です。アメックスは万能なカードではありませんが、役割を理解して使い分けることで、その価値を最大限に引き出すことができます。

